新しい風 岸本義明後援会報

岸本義明

新年あけましておめでとうございます。旧年中は公私ともたいへんお世話になりました。あらためて御礼申し上げます。

さて、合併により宍粟市になって2年9ヶ月が過ぎました。旧町それぞれの考え方で取組んできた行政活動を、新市として統一した考え方でやっていこうと各方面で様々な努力がされています。が、正直言ってまだまだ十分とは言えません。これまでのいきさつや慣習的な部分で尊重すべきものもありますが、市全体として受益者負担の公平性を図り、粛々と統一作業を進めていくことが肝要だと考えています。また、公債費比率19.7%(18%を超えると国の許可がないと借金できない)という市の抱える財政問題については、今後、市庁舎建設、情報網整備その他の事業が進められる中で、比率が最高で21%台になることも予想されています。その健全化に向けての取組みが緊急の課題であります。

私自身は、昨年4月から総務文教常任委員会に席を置き、行政・財政・教育全般にわたって活動する一方で、当初から私自身の課題としております「財政」「地域産業振興」「教育」「人材育成」「情報」について引き続き取組んでまいりました。11月には東京で行われた2泊3日の「清渓セミナー」に自費参加していろいろと勉強させていただきました。加えて、6月議会で監査委員に選出されましたので、議会閉会中も大半の時間を会計監査・行政監査に費やしています。

みなさまもご承知の通り、市は多くの課題を抱えております。私の目の届かないところも多々あると思います。みなさまからご指摘、ご批判、ご提言を寄せていただきたく、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

12月議会

一般質問 平成19年12月 岸本義明

県産木材供給センターについて

木材供給センターについては、折角ここまでこぎつけた今、どうしてこの問題を取り上げて質問するのかと、不快感を持つ方が当局をはじめ議員の中にも多いのではないかと思います。しかし、私にはどうしても確認しておきたいことがありますので、遅きに失した感はありますが、将来の宍粟市民のためにあえて今、責任ある答弁を求めようとしているのであります。

県の公募に対して宍粟市から1組合が応募され、審査の上承認されて、県産木材供給センターの宍粟市誘致が決定しました。宍粟市の将来を左右する大きな構想で、私はぜひとも宍粟市に誘致しなければと影ながら応援してきたものであります。しかしその後、誘致までの経過や現状をつぶさに見ておりますと、本当に喜んでいいのだろうかと、懸念を表明せざるを得ません。県の審査を受け認可を受けた組合のことなので立ち入ったことは差し控えますが、山崎原木市場を含めての原木確保の問題、販売の問題、経営の問題等少なからずというより大いに疑問、不安、危惧を抱いています。この事業のために県が実施した事業化シミュレーションを皆さんはご覧になりましたか。そこで検討委員会が出した報告書の中に「新規製材工場を成功に導くための要素」として挙がっているいくつかの項目に照らし合わせてみてください。それを読めば、私をはじめこの事業に関心を持つ市民が、大きな不安を抱くのは当然のことであります。

ただこれは民間の組合の事業であって、宍粟市としては企業誘致の形で、用地の造成と進入路の整備を負担するだけで、後は地代として年2千万円をいただきますとしていますが、用地造成に11億円、その50%は国の補助、そして、あてにしていた県の補助10%はカットされたので残り50%は市の負担です。それに対しては合併特例債の活用で市の負担は少ないとしていますが、それでもすでに発注した設計委託料を含めて2億円以上の負担になります。それに進入路の整備費が加わります。地代2千万円に対しても減額の要請があると聞いています。

いま全国に同じような形態のセンターがあって、その多くが経営困難に陥っていることは十分ご承知のことと思います。新潟県の加茂ウッドシステムは国・県・市から6億4千5百万円の補助金を受けて10年前に設立され事業展開していましたが、工場の稼動が軌道に乗らず先々月負債総額6億9千万円で事業を停止しました。解散せざるをえないということであります。ここは兵庫県が先進地事例として視察を奨励した工場であります。また、岩手県住田町の三陸木材高次加工協同組合と協同組合さんりくランバーも原木を積極的に手当てしたところ、原木高の製品安で一気に経営危機に陥って、これも先々月やむなく住田町が緊急に3億6千万円の融資保証をせざるを得なくなったと報道されています。そこは9年前に設立され、地域の業者と行政が一体となり、山元から消費者へ直通ルートを立ち上げてコスト削減を謳い、山を生かして資源を循環させる、つまり地域林業資源循環型を目指した工場であって、木材供給システム優良事例コンクールで農林水産大臣賞を受賞した工場であります。また、今回の県のシミュレーション実施にあたり調査に協力した工場でもあります。
そのほかにも全国にはたくさんの行き詰まりの事例があります。
地域の業者と行政が一体となっても行き詰っているのであります。ましてや宍粟市においては関係する業者の一体化はなされていないやに聞いております。市もそうした実情は十分把握されていると思います。事業内容を確認するとして、市は組合構成メンバーからヒアリングも実施されました。何が何でも事業が軌道に乗ってもらわないことには市の目的は達成されず、市の負担した数億円は無駄になり、負の遺産を将来に残すことになります。

そこで質問し、確認しておきたいのですが、助成の一部として市が負担予定の進入路整備費用としていくらほど見込んでいますか。地代2千万円は確実に入るのですか。その一方でヒヤリング等を通じて、この組合の経営理念をお聞きになったと思いますが、市の目的にかなっていますか。事業の先行き計画通りに進むという確信は得られましたか。将来において補助や融資保証とかで市民の負担が増えるということはありませんか。また、市の目的としている「山にお金を返す、山の再生を図る」ということが本当に実現可能だとお考えですか。そのことを検証するシステムを作ると9月にいわれましたが、どのようなシステムなのですか。私の心配が杞憂に終わって、この事業が順調に前に行ったとして、万一そのあおりを受けて、これまで正業を営んできている地元の関係業者に大きな影響が出る、あるいは立ち行かなくなった場合、それはそれで仕方がないことだと言われますか。

以上が私の質問であります。9月の一般質問で小林議員が市の負担について質問されたのに対して、市長は「山にお金を返す仕組みを確保しているのかを検証するには、いくばくかの補助は必要かも知れない」と答えておられます。しかし、この事業は市長が以前私の質問に答えて「参加するも地獄、参加しないも地獄」と言われましたが、まさにそのとおり、先行き相当困難を伴う事業であります。私たち市民に、そして子孫に大きな負担を残さないよう今一度よく考えていただきたいと思うのですが、先ほどの質問に対するご答弁とともに、あわせて再度この事業に対する市長の思いの程をお聞きしたいと思います。

(答弁)