<3月定例議会で審議、決定されたこと(主なもの)>

* 18年度予算(新庁舎設計委託料を含む)
* 市長10%、助役・収入役5%の報酬カット
* 一般職員 給与4.8%カット(但し、現給保障)
    調整手当、寒冷地手当廃止、特殊勤務手当の一部廃止
* 教育研修所の設置(波賀市民局内)
* 宍粟市国民保護協議会条例の制定
* 宍粟市国民健康保険税条例・介護保険条例の一部改正
* 宍粟市の公の施設に係る指定管理者の指定

一 般 質 問 18年3月    岸 本 義 明

質問に先立って一言。 私は昨年6月議会の一般質問で、西信と県立大学との連携成立を取り上げた際に、宍粟市自体が参加する産官学連携の必要性を強く訴えましたが、やっと先月2月16日に宍粟市と県立大学との連携協力について合意に達し調印が行われたということであります。 まことに喜ばしいことと受け止めています。 しかし、問題はこの先にあります。 この連携をどう活かしていくのか。 すでに、情報化の問題で取り組みを始めるとも聞いておりますが、この連携を形だけでなく実りのあるものにしていただきたいと思います。 また、事業を検証する意味から、後日その成果についてもお聞きしたいと考えております。

1. 山の資源と地域産業振興策

 昨年の6月議会におきまして、私は「宍粟100年の計」の一環として、山の資源を活用し、山を再生し、産業を興し、雇用を生み出し、もって自主財源の確保を図るという一大プロジェクト構想を提言し、その実現のために安定した原木供給を確保し、一次加工・二次加工まで含めた、木材の川上と川下をつなぐ総合的な木材供給システムの構想を練り上げて国県に提案し、強力に働きかけるべきだと申し上げました。 先月2月12日、防災センターにおいて催された林業関係のセミナーにおいて、県の林務課係長が「産業を支える森づくり」として、川上・川中・川下が一体となった県産木材供給センターの設置を新年度予算に組み込んで検討すると公の場で発言されました。 相当大規模な構想であります。 大きな前進だと私は評価しております。 ただし、セミナーのあと当の係長と話をしたおり、この構想は宍粟を対象にすると決めたわけではありません、とクギをさされました。 その言葉に大きな不安を抱いております。 しかし考えてみますと、その言葉は当然といえば当然で、問題は地元の態勢づくりだと思います。 肝心の地元業者が積極的に県の構想に協力し受け皿づくりをしなければ、折角の構想も他の地域にもっていかれてしまうのは当然のことであります。 
 そこで市長にお伺いいたします。 市長は県の構想を宍粟市としてどう評価し、そして今後この構想を宍粟市において実現するために、地元の態勢づくりにどう取組むのか、その際どのようなことが課題で、その課題に対してどのように対処しようとされているのかということであります。 
 市長の施政方針の言葉にあるように、私も林業の再生なくして宍粟市の将来展望は開けない、そしてこの機会を逃せば宍粟の木材産業の再生はありえない、主義主張を超えて宍粟市全体として取組むべき課題だと考えておりますので、市長におかれましても相当な覚悟と決意を込めたご答弁をよろしくお願いいたします。

(市長答弁)
県の木材供給システム構想については、県下各地で誘致の名乗りを上げているが、宍粟としては早くから宍粟材のブランド化を目指して、森林認証システムやICタグを使ったトレーサビリティ事業などで県と深く係ってきたので、ぜひとも宍粟でこの構想実現を図りたい。 課題は地元の態勢づくりなので、地元関係団体の協力を得て、利害を超えた受け皿づくりを早急に整備しなければならないと考えている。 


2.「ユビキタスネット社会」実現に向けた情報網整備と電子自治体


 
私が一昨年6月の山崎町議会において、ユビキタス社会の到来を見据えて、高速大容量情報通信網、いわゆるブロードバンドの整備を強く迫ってから一年半、宍粟市にもやっとNTTの光ファイバーが入ってきました。 ご存知のように、ブロードバンド通信は、防災情報の伝達や行政手続きにも活用できる重要な生活インフラのひとつであります。
 そこでお伺いしたいことは、現段階で、実際に市役所に足を運ばなくても可能な手続き等があるのか、もしあればそれは何と何で、そのことがキチンと市民に周知されているのか、また実際に利用されているのか、もし利用件数が少ないならどこに問題があるのか、ということであります。 

(市長答弁)
現段階では、宍粟市のホームページで、入札申込みや各種イベント参加申込みができるだけである。


 そして同時に、同じく山崎町議会において指摘したように、広大な面積を有し、高齢化率の高い宍粟市では、道路網の整備とともに特にICT(情報通信技術)を活用したユビキタスネット自治体を目指す必要があると私は考えます。 いつでも、どこでも、何でも、誰でも簡単にネットワークに繋がるというユビキタスネット社会では、パソコンが使えない人も、市役所から遠い人も、足腰の弱い人も、地域、年齢、性別、障害の有無を問わず自由に動き回れます。 
 そこでもう一点お聞きいたします。 官学連携事業の第一番目として、効果的、効率的な組織運営とサービス提供のための「情報ネットワークシステム」の構築に取組むとのことで私としては大いに期待をしているわけでありますが、その中味として宍粟市としては今後ICTをどのように整備構築し、市民生活に役立つどのような活用を考えているのかということであります。 単に機器の整備をしただけではほとんど活用されないことになります。 市役所が遠いと感じる、というよりも実際に遠い住民が多いわけで、そうした不便さをどのように解消するのか、手続きの問題だけでなく、住民の注文・苦情を素早く簡便に受け取り回答する、そんな面でもICTを活用していくべきだと考えます。 それは一方で行政コストの削減にもつながるものだと考えます。 現在の庁舎では整備しにくい面もあろうかとは思いますが、そうした点も踏まえた上で今後の問題として市長のご見解をお伺いいたします。

 ところで私はいつも、当面の課題よりも、どちらかというとむしろ今から先に問題となるようなことを取り上げて質問、質疑をしております。 それは、私が、私なりに宍粟市の将来のあるべき姿を頭に描いた上で、取り上げねばならない多くの課題を時間的順序を追って質問・質疑をしているからであります。 先を見据えた私の提言や問題提起は、確かな情報と予測に基づいたもので、必ずそういう時代が来ると確信し、宍粟市のあるべき姿の実現に不可欠な課題だと確信しております。 一昨日の総括質疑で問題提起した地域の民間企業に準拠した職員給与制度見直しもその一つであります。 しかし市長はそれは「理想」だと言っていますぐにはヤル気がないことを表明されました。 大きな失望を感じているのでありますが、それはともかく、「ユビキタスネット社会」に関しては、その到来を見据えて、宍粟市においても遅れを取らずに「ユビキタスネット社会」の研究をし、その具現に努力するというヤル気だけはぜひとも見せていただきたいと期待しております。 最後に昨年8月に当時の麻生総務大臣がある場所で挨拶したときの言葉を引用して締めくくりたいと思います。 いわく「電子政府・電子自治体の構築をはじめとして、ICTの利便性を国全体に広げていくとともに、ユビキタスネット社会を世界に先駆けて実現し、豊かで、安心、安全、便利な活力ある日本社会の構築に貢献したい」ということであります。 

(市長答弁)
このたびの県立大学との官学連携業務の一つとして、宍粟市情報化計画を作成する運びで、ユビキタスネット社会へ向けて、鋭意取組んでいきたい。



      総 括 質 疑   18年3月


1. 行財政改革=職員給与体系について

 市長は新年度の予算編成にあたり、行財政改革の一環として職員手当の一部廃止等人件費の抑制案を提案し、改正の為の条例も昨日、当議会において可決承認されました。 ところで今回の改正の経緯を見ていますと、市長には現行の給与制度を維持しつつ、人事委員会の勧告に従い、つまり国家公務員給与に準拠して、その時その時部分的に改定することで対応していこうとの方針と思われますが、果たしてそれでいいのでしょうか。 市民は納得するでしょうか。 私は少なからず疑問に感じております。 現在の制度は別に何も手を付ける必要のない制度なのでしょうか。 一般市民からは、公務員はいい給料をもらっているという不満に似た声をよく耳にします。 実際はそうではないかも知れません。 公務員の側にも言い分はあるでしょう。 当局と職員そして市民の相互の不信を少なくするためにも、職員の給与制度については、私は制度そのものをもっと違う角度からも議論し検討すべきものだと考えます。

 地方公務員の給与は地方公務員法第204条で「条例で定める」とあり、議会を通して条例で定めているわけでありますが、実態的には同法第24条の「国および他の地方団体の給与を考慮して定めなければならない」という文言を採用して、国家公務員の給与に準拠して決められてきております。 しかしながら、ご存知の通り国家公務員の給与を勧告する際に人事院が準拠している民間企業とは、従業員100人以上のいわば大企業の水準であるので、私は山崎町議会におきまして、地方公務員は同じ地域に生活する者として、その地域の民間企業の給与水準というものを比較の対象にすべきだと申し上げました。 時の町長は、もっともなことだと答弁されたのでありますが、その後、比較対象にすべき地域の民間企業の情報が得にくいとの理由で先延ばしになり、結局、合併、選挙となり現在に至っています。 

 しかしその間、鳥取県の片山知事をはじめ多くの方が新聞紙上等で私と同様の主張をされました。 そしてようやくこのたび総務省の諮問機関「有識者研究会」が、地方公務員給与について「国家公務員に準ずる」との原則を廃止し、各地域の民間給与との均衡を重視する考え方に転換するとの方針を決め、それを受けて総務省もその方向で地方に通知を出し、2006年度の給与改定から国公準拠を廃止し、地方公務員法の改正も検討することになったと報道されています。 やっと私の主張に沿う形になりつつあるわけですが、そうなりますと地方公務員の給与は、今後地域の財政状況や民間企業の給与水準等によって地域間格差が広がることは必至であります。 

 そこで市長にお聞きいたします。 
一点目、市長は今回、職員給与を国家公務員に準拠して改正するにあたって、地域の民間企業の水準と比較するといった意識はあったのでしょうか。 市長は地域民間企業の給与については大まかに把握していると言われましたが、私が比較の対象にしているのは、給与の額だけではありません。 宍粟市内の民間企業の賃金体系、賃金水準、手当の種類、実労働時間、残業の実態、完全週休二日制の実施状況、有給休暇の取得状況等々の労働実態や労働組合の有無等についての情報も加味した上での比較を言っているのであります。 

二点目、市長は職員給与について、現行の制度を維持し、その都度、その都度、国家公務員に準拠して見直しを進めていこうとしているように見えますが、果たしてそれが宍粟市にとって最善の考え方だと思われますか。 それで市民が理解し納得しているとお考えでしょうか。 私は新生宍粟市の将来を見据え、早急に、宍粟市職員給与の体系はどのようにするのか、どんな基準に基づいて決定するのか、地域の民間企業の給与水準との比較はどうするのか、年功序列体系はどうするのか等、時代の流れ世論の動向を見極め、制度そのものについて根本的に再検討し、地域の民間企業の給与水準を十分加味し、その上で、個々の職員については年功序列でなく職務の内容を考慮し、意欲のある人、能力のある人、頑張っている人、そうした人には十分その評価をし、給与ではもちろん期末手当等でも差を付けて、宍粟市にとって有用な人材が意欲を失わず、十分にその能力を発揮できる、そんな実力本意のそして市民が理解し納得するような、宍粟市独自の給与体系を作り上げるべきではないかと考えますが、どう思われますか。 市長は宍粟市という企業の社長としての立場で社員の給与制度というものを考えてみていただきたい。 正当な評価に近いものが出るような制度を設け給与に反映すべきだと思います。 行政でも企業でも人が財産であります。
以上の二点について市長の見解を伺います。 

(市長答弁)

理想としては岸本議員の言われるとおりであるが困難な問題もある。 地域の民間企業のことはおおよそ把握しているので、その方向で今後検討する。


(助役答弁)

地域の民間企業の給与を含む労働条件等の実態の把握に努め、それらを考慮に入れたうえで、年功序列賃金の見直しなど、職員の給与体系を検討していく。