質問に先立って一言。 私は昨年6月議会の一般質問で、西信と県立大学との連携成立を取り上げた際に、宍粟市自体が参加する産官学連携の必要性を強く訴えましたが、やっと先月2月16日に宍粟市と県立大学との連携協力について合意に達し調印が行われたということであります。 まことに喜ばしいことと受け止めています。 しかし、問題はこの先にあります。 この連携をどう活かしていくのか。 すでに、情報化の問題で取り組みを始めるとも聞いておりますが、この連携を形だけでなく実りのあるものにしていただきたいと思います。 また、事業を検証する意味から、後日その成果についてもお聞きしたいと考えております。
1. 山の資源と地域産業振興策
昨年の6月議会におきまして、私は「宍粟100年の計」の一環として、山の資源を活用し、山を再生し、産業を興し、雇用を生み出し、もって自主財源の確保を図るという一大プロジェクト構想を提言し、その実現のために安定した原木供給を確保し、一次加工・二次加工まで含めた、木材の川上と川下をつなぐ総合的な木材供給システムの構想を練り上げて国県に提案し、強力に働きかけるべきだと申し上げました。 先月2月12日、防災センターにおいて催された林業関係のセミナーにおいて、県の林務課係長が「産業を支える森づくり」として、川上・川中・川下が一体となった県産木材供給センターの設置を新年度予算に組み込んで検討すると公の場で発言されました。 相当大規模な構想であります。 大きな前進だと私は評価しております。 ただし、セミナーのあと当の係長と話をしたおり、この構想は宍粟を対象にすると決めたわけではありません、とクギをさされました。 その言葉に大きな不安を抱いております。 しかし考えてみますと、その言葉は当然といえば当然で、問題は地元の態勢づくりだと思います。 肝心の地元業者が積極的に県の構想に協力し受け皿づくりをしなければ、折角の構想も他の地域にもっていかれてしまうのは当然のことであります。
そこで市長にお伺いいたします。 市長は県の構想を宍粟市としてどう評価し、そして今後この構想を宍粟市において実現するために、地元の態勢づくりにどう取組むのか、その際どのようなことが課題で、その課題に対してどのように対処しようとされているのかということであります。
市長の施政方針の言葉にあるように、私も林業の再生なくして宍粟市の将来展望は開けない、そしてこの機会を逃せば宍粟の木材産業の再生はありえない、主義主張を超えて宍粟市全体として取組むべき課題だと考えておりますので、市長におかれましても相当な覚悟と決意を込めたご答弁をよろしくお願いいたします。
(市長答弁)
県の木材供給システム構想については、県下各地で誘致の名乗りを上げているが、宍粟としては早くから宍粟材のブランド化を目指して、森林認証システムやICタグを使ったトレーサビリティ事業などで県と深く係ってきたので、ぜひとも宍粟でこの構想実現を図りたい。 課題は地元の態勢づくりなので、地元関係団体の協力を得て、利害を超えた受け皿づくりを早急に整備しなければならないと考えている。
2.「ユビキタスネット社会」実現に向けた情報網整備と電子自治体
私が一昨年6月の山崎町議会において、ユビキタス社会の到来を見据えて、高速大容量情報通信網、いわゆるブロードバンドの整備を強く迫ってから一年半、宍粟市にもやっとNTTの光ファイバーが入ってきました。 ご存知のように、ブロードバンド通信は、防災情報の伝達や行政手続きにも活用できる重要な生活インフラのひとつであります。
そこでお伺いしたいことは、現段階で、実際に市役所に足を運ばなくても可能な手続き等があるのか、もしあればそれは何と何で、そのことがキチンと市民に周知されているのか、また実際に利用されているのか、もし利用件数が少ないならどこに問題があるのか、ということであります。
(市長答弁)
現段階では、宍粟市のホームページで、入札申込みや各種イベント参加申込みができるだけである。
そして同時に、同じく山崎町議会において指摘したように、広大な面積を有し、高齢化率の高い宍粟市では、道路網の整備とともに特にICT(情報通信技術)を活用したユビキタスネット自治体を目指す必要があると私は考えます。 いつでも、どこでも、何でも、誰でも簡単にネットワークに繋がるというユビキタスネット社会では、パソコンが使えない人も、市役所から遠い人も、足腰の弱い人も、地域、年齢、性別、障害の有無を問わず自由に動き回れます。
そこでもう一点お聞きいたします。 官学連携事業の第一番目として、効果的、効率的な組織運営とサービス提供のための「情報ネットワークシステム」の構築に取組むとのことで私としては大いに期待をしているわけでありますが、その中味として宍粟市としては今後ICTをどのように整備構築し、市民生活に役立つどのような活用を考えているのかということであります。 単に機器の整備をしただけではほとんど活用されないことになります。 市役所が遠いと感じる、というよりも実際に遠い住民が多いわけで、そうした不便さをどのように解消するのか、手続きの問題だけでなく、住民の注文・苦情を素早く簡便に受け取り回答する、そんな面でもICTを活用していくべきだと考えます。 それは一方で行政コストの削減にもつながるものだと考えます。 現在の庁舎では整備しにくい面もあろうかとは思いますが、そうした点も踏まえた上で今後の問題として市長のご見解をお伺いいたします。
ところで私はいつも、当面の課題よりも、どちらかというとむしろ今から先に問題となるようなことを取り上げて質問、質疑をしております。 それは、私が、私なりに宍粟市の将来のあるべき姿を頭に描いた上で、取り上げねばならない多くの課題を時間的順序を追って質問・質疑をしているからであります。 先を見据えた私の提言や問題提起は、確かな情報と予測に基づいたもので、必ずそういう時代が来ると確信し、宍粟市のあるべき姿の実現に不可欠な課題だと確信しております。 一昨日の総括質疑で問題提起した地域の民間企業に準拠した職員給与制度見直しもその一つであります。 しかし市長はそれは「理想」だと言っていますぐにはヤル気がないことを表明されました。 大きな失望を感じているのでありますが、それはともかく、「ユビキタスネット社会」に関しては、その到来を見据えて、宍粟市においても遅れを取らずに「ユビキタスネット社会」の研究をし、その具現に努力するというヤル気だけはぜひとも見せていただきたいと期待しております。 最後に昨年8月に当時の麻生総務大臣がある場所で挨拶したときの言葉を引用して締めくくりたいと思います。 いわく「電子政府・電子自治体の構築をはじめとして、ICTの利便性を国全体に広げていくとともに、ユビキタスネット社会を世界に先駆けて実現し、豊かで、安心、安全、便利な活力ある日本社会の構築に貢献したい」ということであります。
(市長答弁)
このたびの県立大学との官学連携業務の一つとして、宍粟市情報化計画を作成する運びで、ユビキタスネット社会へ向けて、鋭意取組んでいきたい。
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